住宅ローン専門FPの中野庸起子です。

最近の住宅ローンのご相談のなかで増えつつあるのが「住宅購入は消費税アップ前と後とどちらがお得ですか?住宅ローン控除の改正もあると聞いたのですが。」という相談で、前回の投稿で平成26年以降での消費税の改正予定と住宅ローン控除の所得税の改正予定との関係を述べました。では、今回はその続きとして、住宅ローン控除の住民税の特例を説明し、年収いくらのひとがいくらの物件をどの時期に購入するのがいいのかを、独自にシミュレーションしました。

まず、住宅ローン控除額の拡大「住民税の平成26年から29年特例について説明します。一般住宅の場合のみを見ていきます。

「平成26年分以後の所得税において住宅ローン控除の適用がある者(平成26年から29年までに入居した者に限る)のうち、当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額(住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額とする)を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を、次の控除限度額の範囲内で減額する」というのが特例の内容です。つまり、住宅ローン控除によって所得税で控除しきれなかった分については住民税から控除できる、還付されるということです。
 具体的内容は次の通りです。
居住開始年月 平成26年1月〜3月
 次の@とAのいずれか小さい金額
@ その年分の住宅ローン控除額―所得税
A 所得税の課税総所得金額等の額×5%(最大97,500円)

居住開始年月 平成26年4月〜29年12月
 次の@とAのいずれか小さい金額
@ その年分の住宅ローン控除額―所得税
A 所得税の課税総所得金額等の額×7%(最大136,500円)


では、住宅ローン控除の所得税・住民税の拡大と消費税8%へのアップを控えた平成26〜27年にスポットをあてて、
平成26年1月〜3月に住宅を買って居住するのと
平成26年4月〜平成27年9月末に住宅を買って居住するのと    どっちがお得?
税込み年収なんぼの人がなんぼの住宅を購入するのがいいのか・・・・を考えてみました。
前提条件を設定し、税込み年収750万円、500万円、400万円の人を例にあげました。
750万円というのは住宅を購入する世代のなかで管理職世代であり、「余裕で住宅を購入できる」と本人が思い込んでいる世代です。

前提条件
※ 建物の価格のみ消費税がかかるので、建物のみ住宅ローンを組んだとしておきます。
  (諸費用、仲介手数料は考慮しない。)
※ 給与水準は10年間一定と仮定
※ 組むローンの金額3000万円 種類と金利はフラット全期間固定2.0% 35年 
※ 給与所得控除後の金額から差し引く所得控除はそれぞれあくまで仮定で標準的な数字で設定する。
※ 住宅ローンの償還残高は年々減っていくので、実際のローン控除額は結論よりも少ないと考えられる。

結論
 税込み年収750万円《〜800万円程度》のひと
 平成26年1月〜3月   約2,000,000円の住宅ローン控除受けられる
              ↓
 平成26年4月〜29年12月約3,800,000円の住宅ローン控除受けられる

          約1,800,000円
計算過程
給与収入750万円(税込み) 給与所得控除後の金額555万円
所得控除195万円
課税総所得金額360万円
税額30万円とする
※これらは所得税の給与所得控除後の金額算定表、所得税の金額算定表にあてはめて計算

ローン金額3000万円 返済期間35年 金利全期間固定2.0%(フラット35)

平成26年1月〜3月居住(消費税改正前 5%)の場合
ローン控除 所得税20万円×10年=200万円
      住民税360万円×0.05=18万円→最大97,500円
         97,500円×10年=975,000円
      結局所得税で控除仕切れない金額を住民税から控除
 10年間合計2,000,000円

平成26年4月〜27年9月末 居住(消費税改正後 8%)の場合
ローン控除 所得税(返済明細表から計算)10年分で2,800,000円
      住民税360万円×0.07%=252,000円→最大136,500円で所得税と合計して40万円までなので結局10万円程度
         100,000×10年=1,000,000円
      結局所得税で控除し切れない金額を住民税から控除としても
      10年間合計3,800,000

つまり、消費税改正前と後とでは、後のほうが住宅ローン控除額は多い。
差額1,800,000円

同じ前提条件で年収が違う人のばあいはどうなのか?
対比税込み年収400万円 課税総所得金額1,800,000円のひとであれば、ローン控除は10年間で36万円しか得しない。
対比税込み年収500万円 課税総所得金額2,200,000円のひとであれば、ローン控除は10年間で50万円しか得しない

以上が計算結果です。

これらの結果に基づく、私独自の考察と結論としては、この差額とアップする消費税額とを天秤にかけて建物を購入するべきだと考えられます。また、高所得者(年収750万円以上)は消費税改正後に住宅を購入しても住宅ローン控除の恩恵をうけられるので、損がない可能性が高いが、それ以下の所得の人は、住宅ローン控除の改正があっても恩恵があまりないので、消費税改正前に住宅を購入した方がいい可能性が高いということが上げられます。
ただし、支払う所得税や住民税の額は、所得控除などによって変動がありますし、消費税は建物のみにかかるものですので、この結論はケースによって違うこと、この考察は私独自のものであること、組む住宅ローン金額によって異なることをご了承のうえ、参考にしてくだされば幸いです。